いせさき明治館(旧黒羽内科医院旧館)は明治末に建てられた県内最古の木造洋風医院建築と言われています。2002年9月、本町通りからおよそ100メートル曳家移転して現在の場所に移りました。伊勢崎市の重要文化財に指定されています。
現在は伊勢崎市観光物産協会が管理していて、通年で伊勢崎銘仙を展示しています。展示は季節やときどきの話題に合わせて1~2か月ごとに変えられています。伊勢崎めいせん屋は明治館の展示に協力しています。
月曜と火曜が休館。午前10時から午後5時まで、入場無料でスタッフが建物や銘仙の説明をしてくれます。団体の場合は事前問い合わせが必要です。
伊勢崎市曲輪町31-4 電話番号は0270-40-6885
明治館の過去の展示はこちら(Go!伊勢崎 伊勢崎銘仙)でも見られます。
薬玉(くすだま)。女児の祝着、振袖に多く用いられました。元々薬玉は薬草、香草を袋に詰めて造花で飾り、五色の糸で結んだもの。延命長寿、無病息災の願いを込めた柄です。併用絣。昭和初期。
花車(はなぐるま)。平安時代の貴族たちが乗っていた牛車に草花をのせた優美な柄。地色の黄緑が新春にふさわしい。緯総絣。昭和初期。
細かい「市松」の地に、大きい横長の赤で描いた抽象柄。併用絣。昭和中期。
大きな「市松」に桜、梅の小さい花が散らされています。かわいい柄で、お正月の晴れ着に使用されたのでしょうか。併用絣。昭和初期。
太い縦と横のラインに区切られた部分を、細い縦線、横線で描いた柄。併用絣。昭和中期。伊勢崎市観光物産協会所蔵。
45度回転させた「市松」のような、変り格子模様。オレンジ色の格子の部分は、いくつもの色が入った細かい模様なので、近くで見てください。併用絣。昭和中期。
1階診察室の多くは「市松模様」。四角形が交互に並んで途切れなく続く模様のため、「永遠」「繁栄」「発展拡大」などの意味があります。伝統柄の中でも古く、古墳時代のはにわのはかま部分にも表現されている柄で「あられ」「石畳」と呼ばれていました。江戸時代の歌舞伎役者、初代・佐野川市松が白と紺のこの模様のはかまを着たことで人気となり、「市松模様」として大流行しました。併用絣。昭和初期。
2020東京オリンピックのエンブレムを思わせるような、紺と白の細かい市松模様。併用絣。昭和初期~中期。
赤い太線で区切った市松模様。薄い方の四角には、縦横に何色もの細い線が入っています。併用絣。昭和中期。伊勢崎市観光物産協会所蔵。
色違いの三角形を並べた模様で、魚や龍、蛇の鱗に似ていることから「鱗文(うろこもん)」といいます。厄除けの模様ともされています。かつて女性の心の内には鬼が棲むと信じられていたため、内なる鬼を戒めるために、長襦袢にも「鱗文」が多く用いられたそうです。今回の展示作業中に、市内の方から「明治館で使ってください」と寄付された銘仙です。緯総絣。昭和中期。伊勢崎市観光物産協会所蔵。
「菊文(きくもん)」。格調高い花柄で、秋だけでなく季節を問わず、美しさや香りだけでなく、長寿を意味するおめでたい柄です。併用絣。昭和初期~中期。
「色紙文(しきしもん)」。短歌や俳句、絵を描く厚紙を色紙といいます。毛氈の上にその色紙を散りばめて広げたように見える柄です。それぞれの色紙にモダンな柄が描かれている華やかな銘仙です。併用絣。昭和中期。
紺地に小さい升模様。朱色と白の小さな市松模様が花のようです。括り絣。昭和中期。
左は「松」。松は真冬でも深緑の葉を付けることから、生命力の象徴とされ、「竹」「梅」とともに結婚や出産などおめでたい時に用いられる柄です。緯総絣。昭和初期。右は菊を描いた「色紙文」。緯総絣。昭和初期~中期。ともに伊勢崎市観光物産協会所蔵。
「麻の葉模様」。古くから使われてきた模様で、着物だけでなく、家紋などにも使われています。4カ月で3~4メートルにも成長する麻の生命力から、子供の健やかな成長を願う柄として、産着などにも多く用いられました。着物の代表的な柄の一つです。併用絣。昭和初期~中期。伊勢崎市観光物産協会所蔵。
鮮やかな緑地に白い花と御所車のおめでたい柄。初春を感じさせる銘仙です。併用絣。昭和初期~中期。
「入れ子升(いれこます)柄」。「升柄」は「ますます」という音から、繁栄や五穀豊穣を願う縁起の良い柄とされています。この銘仙は升が入れ子になっていて、色や向きを変えて変化を出しています。併用絣。昭和初期。
前の「入れ子升柄」の部分拡大。線画で猫や鳥などが描かれています。
「短冊柄」。数年前のテレビドラマで話題になり、伊勢崎銘仙の名を若い世代に知ってもらうきっかけとなった「木島織物所」製の現代銘仙。市内の方からの寄贈品。着丈、裄ともに大きく仕立てられている。締切絣。伊勢崎市観光物産協会所蔵。
「椿と鹿の子模様」。椿は椿油など、副産物を生み出す神秘的な花と言われ、春にふさわしい柄です。併用絣羽織。昭和初期。
「矢絣」。弓矢の羽根をモチーフにした柄で、江戸時代に、嫁入りの際、「出戻ってこないで婚家で幸せになりなさい」という願いを込めて持たせたという縁起柄です。締切絣。昭和初期。
「十字と変わり矢羽根」。大正ロマンを思わせるモダン柄銘仙。締切絣。昭和初期~中期。
「竹柄」。竹はまっすぐに伸び、中は空洞で、腹に二物がないという理由から、江戸時代に好まれた柄です。併用絣。昭和初期。
「縞」。銘仙の原点ともいえる柄。細い紺の線がシンプルできれい。半併用絣。昭和中期。伊勢崎市観光物産協会所蔵。
銘仙は四季折々の色彩やデザインが豊富にありますが、私のコレクションの中では、秋色がダントツに多いです。今回は、その中でも未発表の昭和初期に作られた併用絣、緯総絣を展示してみました。 全部で23点(明治館所有5点含む)、お気に入りの銘仙に出会えるといいですね。
勢いのある斜め刷毛目模様 併用絣。昭和中期。
モスグリーンの横縞に赤、朱、黄色などの葉模様がポイントのモダンな柄。併用絣。昭和中期。
1階診察室には秋の花や紅葉模様を集めました。
紅葉した立ち木のような柄。現代アート的な併用絣。昭和初期から中期。
緑の松に紅葉した蔦の葉。白と黄色の椿が黒地に映える華やかな柄。昭和初期から中期の併用絣。
満開の糸菊はまるで大輪の花火のよう。帯と帯留めのコーディネートは高木照子さん。水色の半襟に注目。昭和初期から中期の併用絣。帯、帯留め、半襟は伊勢崎市観光物産協会所蔵。
黒地に紅葉した秋の枝葉。葉の後ろに網代(あじろ)模様をを重ねたシックな銘仙。昭和初期の解し絣。袖の長さに時代を感じます。
日本画のようなレトロな花木模様。ところどころ金糸、銀糸が織り込まれています。昭和初期の併用絣。
白地に黄色と茶と黒でさまざまな草花を表現。グラデーションをつけているので、見た目以上に型紙数が多い。昭和中期、併用絣。
昭和初期の手の込んだ括り絣。深い朱色が印象的。伊勢崎市観光物産協会所蔵。
櫛形に切ったリンゴを変形させたようなモダンなアールデコ柄。昭和中期の併用絣。
右は昭和中期の黄色と黒の抽象葉模様。併用絣。
左は昭和初期の散り葉模様。解し絣。
帯、帯留め、着物とも伊勢崎市観光物産協会所蔵。
大きな百目柿模様。背景は篠竹の竹矢来のよう。銘仙ならではの大胆な柄です。昭和初期の緯総絣。
違い横段模様。経糸に型紙捺染、緯糸は絣糸を使った半併用。昭和初期から中期。
渦巻模様の羽織。昭和中期の併用絣。
抹茶地に三角の幾何学模様と横縞。色味はレトロだが、大胆なデザインで目を引く。昭和初期から中期の併用絣。黒地のシックな名古屋帯を合わせて。帯は伊勢崎市観光物産協会所蔵。
深い赤地にモダンな横縞模様。昭和中期の半併用絣。経糸は型紙捺染。緯糸は基本赤い地色で、経糸に黄色が入るときは緯糸も黄色にするなど、色の数だけ緯糸の色も替えています。
赤いドットが入った斜め格子のリボン柄、背景の縦縞と合わせた印象的な併用絣。昭和初期から中期。
黒地に、赤と黄色の長方形を、ジグザグな黒線と小さな白い菱形で縁取りした大胆なデザイン。昭和初期の緯総絣。
規則的に並べられた小葉の上に、色とりどりの落ち葉を配置した秋ならではの銘仙。昭和中期の併用絣。黒地とピンク、水色の名古屋帯と水色の帯締め、帯揚げでコーディネイト(高木照子さん)。着物、帯ともに伊勢崎市観光物産協会所蔵。
カーキ、オレンジ、グレーなどのモザイク模様。昭和中期の併用絣。伊勢崎市観光物産協会所蔵。
印象的な赤と黒の横縞。袖と後ろ身頃の横縞が繋がる、後姿を見せる仕立の妙。昭和初期から中期の半併用絣。
太い緑のジグザクの中に黒縁の赤いダイヤ柄。色の構成からクリスマス時期にもぴったり。昭和中期の併用絣。
銘仙の魅力のひとつは、色彩の豊かさですが、今回の展示はあえて、「青」一色に絞ってみました。すべて、昭和初期から中期にかけてのビンテージ銘仙です。また、明治館に寄付された夏帯も一緒に展示してみました。着物ファンにはコーディネートの参考になるのでは。
暗い波間を漂う白いカモメ 解し絣
タチアオイが美しい併用絣。トップページで伊勢崎めいせん屋代表が着ている銘仙です。
1階診察室には幾何学模様を集めました。
手描きのような業平模様 併用絣
青地に白と黄色の井桁模様 括り絣
括り絣のようですが併用です。
黒地に白と青の大胆な十字模様 括り絣
解し絣 経糸は型紙捺染、緯糸を紺と白で縞にしています。
伊勢崎市観光物産協会所蔵
蝶をモチーフにしたモダンな柄ですが、昭和初期のものと思われます。 解し絣
左は足利が得意としていた半併用絣、黒白の市松に花模様。右は紫のバラと蝶模様の解し絣。どちらも昭和レトロ、モダンな銘仙です。
経糸に青と白を使った縞銘仙。伊勢崎市観光物産協会所蔵
併用絣。水音まで聞こえてきそうな涼しげな滝模様。濃い青の帯を合わせて。
斜めよろけ模様に印象的な赤いライン。併用絣
伊勢崎市観光物産協会所蔵
左は白地に紺と緑の花 併用絣。右は緯糸の色を代えた解し絣のよう
床の青いラインはポーラ絣、麻の葉模様の反物です。ちなみにポーラ絣は毛絹混紡糸で織った反物で、シルクウールとも言われています。
ソファーに座ってファッションショーのDVDも見られます。
併用絣 紅の百合、白地に青が涼しそう。臙脂の夏帯を合わせて。
解し絣 花柄の横縞、裾に行くほど花が大きくなっています。帯は生成りに芭蕉葉模様。
ファッションショーの最後を飾ったドレスは、引き続き展示しています。
緯糸を代えた解し絣。川辺の柳模様。
美しい波しぶき、併用絣。伊勢崎市観光物産協会所蔵
刀刻の伊藤正義さん個展のポスター
9月21日(土)~29日(日)ベイシアIS伊勢崎店4階ISホール
杉原みち子さん所有
玄関脇には伊藤正義さんの“刀刻”の作品が展示されています。
伊勢崎市観光物産協会所蔵
伊勢崎市観光物産協会所蔵
伊勢崎市観光物産協会所蔵
伊勢崎市観光物産協会所蔵
帯=伊勢崎市観光物産協会所蔵
ショーのラストを飾ったドレス2着。
高木照子さんによるピンワーク。
ファッションショーのDVDが見られます。
ソファーでゆっくりお楽しみください。
菖蒲かアヤメの花柄銘仙、併用絣です。
ピンクのかわいい花柄銘仙、併用絣です。
観光物産協会所蔵
観光物産協会所蔵
観光物産協会所蔵
テニスラケットと王冠。上皇と上皇后出会いのテニスを柄に。
観光物産協会所蔵
明治館の過去の展示はこちら(Go!伊勢崎 伊勢崎銘仙)でも見られます。